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西本智実 [音楽]

西本智実指揮イルミナートフィルの演奏会を聞いてきた。ホールは東京オペラシティー2階の前のほうで音響はとてもよかった。

一曲目は1970年キエフ生まれのアレクセイ・ショール作曲トラベルノートブック日本初演とのこと。世界各地7箇所の名所?の印象をピアノ協奏曲風にまとめた組曲。現代作曲家ということでもう少し刺激的な曲を期待していたが、ごくオーソドックスではっきり言ってイージーリスニング。しいて言えば終局のホースマンはまだ聞く価値があったが、ほかの曲はしまりが無い。この後演奏されたレスピーギとは音楽の格がまるで違う。ピアノ独奏は田部京子。これは完璧な演奏だった。

オーケストラは西本が主宰するオーケストラで、メンバーにチェロの木越洋がいる。イージーリスニング風のはじめから弦は良さが感じられた。音響のいい席でなおさら弦楽器の音がよかった。それに比較して管はイマイチ。特に金管が弱い。

二曲目のレスピーギ ローマの松はがんばったと思う。この日一番の演奏だった。色彩豊かでかなりオーケストラの技術が必要な曲と思うが、大きな破綻はなかったし、指揮者はオーケストラをコントロールし盛り上げていた。オルガンの位置に並んだとても金管はうまかった。トラだったのかな。

三曲目はラベルのボレロ。この曲はオーケストラの技術というよりは、特に管楽器演奏者の技術が要求される曲と思うが、かなりほころびがあった。ソロのレベルが曲に追いついていない。まったくの想像だがオーケストラの能力が要求されるレスピーギはかなり時間をかけて仕上げていたが、個人プレーのボレロはそこまでされていないのでは。インテンポでダイナミクスが徐々に高まるこの曲では、指揮に見せ場はなかった。最後の最後でアンサンブルが乱れたのはオーケストラの問題が指揮の問題かはわからない。それから普通なら管楽器はかなりポルタメントをかけるところが、最小限だった。指揮者の意図なのか?ポルタメントをかける技術もなかったとは思いたくないが。

それに比べてアンコールのブラームスのハンガリー舞曲5番はやりすぎ。指揮者が思いっきりテンポをいじっていた。早いところはより早く、遅いところはより遅く。アンコールだから許される?が、本番ならありえない。ブラームスをマーラー風に演奏した感じ。あるいはインテンポ、ポルタメントなしのボレロと際立たせたのかも知れない。ただテンポのいじり方はなんとも紋切り型で新鮮味はない。

いろいろと書いたが、全体としては十分楽しめたと思う。今回初めて聞いた西本智実について、色々言われているが、全体としてオーケストラ任せは全くなく、指揮者が終始オーケストラをコントロールしていた。統率力のある指揮者だ。男まさりの統率力を男装の麗人(古すぎ)が見せるのでとにかくカッコイイ。人気があるのはわかる。今回も9割方の入りだった。プログラムはほとんどが音楽性よりも技巧や色彩を重んじた曲だった。唯一音楽性が出るブラームスは前述のとおりだった。クラシックの音楽には色々なアプローチがあるので、私的には好きではないがこういう音楽があっていいと思う。惜しむらくはオーケストラ特に管がその域に達していなかった。この指揮者がN響や読響を振ったらどうなるのか興味があるが、残念ながらそれはありそうもない。


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